aikoの16thアルバム『残心残暑』収録の「skirt」の歌詞の意味を考察します。
一貫して不穏さが漂うにもかかわらず、癖になる中毒的な失恋曲と話題ですよね。
先日、aikoが出演したミュージックステーションのナレーションで「失恋の曲」と言っていましたが、失恋の曲?本当に?と私は思いましたが…悲愴感ないし……。
この曲のイントロは「オレンジな満月」っぽくもあり、曲調は「マント」や「愛の病」に似ているなと最初思いました。
さて、いきなりですがタイトルのskirt(つまり女性が履くスカートですね)は、彼氏と付き合っているけれど、モヤモヤしているあたし(≒aiko)の心の隠喩(比喩)です。
スカートは、心と一緒です。
※勝手な考察なので、正しいかどうかは分かりません。知りません。aikoのみぞ知る。
曲全体の解釈としては、最近モヤモヤの原因が分からず、彼氏とずっと一緒にいたいと思っていたあたしが、自分の本当の心の中身に気づき、別れを決心する曲です。
スカートは、履いていたら中の様子は分かりません。だけど、そのスカートの中の形状は、履いている本人だけ知っています。
外から見える部分は、かわいいデザインだとしても、中がシワシワだったり、ほつれてるとか(この曲では、よれたプリーツ嫌で堪らなかった、と表現)
つまり、心と同じなんです。
見た目を取り繕っても、内側の心は複雑なんですね。
<こんな星さよなら いつも苦しかったの 頑張った振りしたってちっとも楽しくない だってさよなら 2人の世界に邪魔は付き物 日々歳を重ねてく幸せをホウキで掃いた>
家で一人でいるあたしは、考えます。
最近、つまらない。日々、幸せにあなたと生きたいからあたしはちゃんと頑張ってる。でもこれって、頑張った振り?なのかな。
この心のつっかえの正体が分からず、体操座りをしながらスカートの中に潜り込んだら(←この場合は比喩ではなく本当にスカートの中に潜り込む)、暗闇みたいになって、まるであたしの心に似ているなと感じます。
そして、心の暗闇の中で、見つめ直す(歌詞では、ホウキで掃いたと表現)と、見えてきたのは、あなたがあたしに言った言葉の数々。
例えば「夢中になって何もかも見えないなんて恥ずかしい」とか。
それは、あたしの人生のすべてを否定する言葉。音楽が好きでそれしかほとんど考えていないあたしをあなたは、他のことどう考えてるの?とあたしに問いただします。
そこでやっと気づいたのです。あぁ、あなたは私の愛しい人、運命の人ではありません、と。
<そのスカートは2度と履きません>は、「もう私は自分の心に嘘はつきません。昔の私には戻りません。前を向きます」という決意表明です。
心の闇に潜りこむと、さらに見えてきたのは鍵のある場所。
〈それって都合よくないか だけどあなたの気持ちを離したくなくて〉
最近上手くいっていなかった2人。
それはお互い分かっていたはずなのに、見ないふりして心に鍵をしていたけど、潜れば潜るほど、やっぱり私たちはうまくいかないんだと気づく。
〈花を食べて生きていたよ 夢のようで 2人の元は暗いと火照ったまま過ごした〉
ここも比喩で、花=見た目は幸せそうに見える、楽しそうに見える 元=根っこは腐りかけ、根本的には私たちは噛み合わない2人で、暗くなっている。
そこを目を逸らしていたし、うまくいかないことをお互いがお互いのせいにしていたこともあったけど、そもそもそういうことじゃないよね、と。
いつも笑ってごまかして、なぁなぁになっていたけど、もう苦しいことは、こりごり。
まだ嫌いになったわけではない。一度好きになった人をもう好きじゃないというのは勇気がいるから。スカートは揺れる。=心が揺れるときもあるけど、気づいてしまったあたしは昔には戻れない。自分の心に蓋をしないで、あたしはあたし自身の幸せを考えます。
最後の歌詞の「じゃあ、またね」でaikoのかわいいとこダダ漏れなんですが…「じゃあ、ばいばい」ではなく「またね」だと、次の再会を望む別れの挨拶ですよね。
「もっといい女になるから、今に見てろよ!べーっだ!」って感じの締め方。
あなたと再び会うことはないかもしれないけど、まぁお互い元気でやってくれよな、って感じでaikoらしいです。
あたしが彼氏と別れて、すっきり爽快した曲ですね。
あっぱれ!
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